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掲載日2018.08.04
2018.08.04

文化財を科学する

祖先がつくり、今に伝わった文化的な遺産である文化財は、未来へ残し伝えていくべき、大切な人類のメッセージです。過去のことを知ることができるだけでなく、人類の未来のためにも大切にして残していかなければいけません。
ただ、何百年、何千年という時を超えてきたものはとても壊れやすくなっているため、時には修理が必要になります。
また、発掘調査で出土したものは、突然空気にふれると、一気に壊れてしまうものも多く、どのように修理し、長持ちさせていくのかを考えるためにも、文化財の科学分析が必要となります。
文化財を調べるには、大きく分けて「非破壊調査」と「破壊調査(サンプリング調査)」という2つの方法があります。
「非破壊調査」は、文化財を壊さずに調べるやり方で、最もよく使われるのが「光」を中心とした電磁波を使う方法です。使われる光は、目に見える光(可視光線)だけではありません。目に見えない光(赤外線、紫外線)やX線などを使うことでも、文化財を調べることができるのです。



赤色の光より少し波長が長い光を「赤外線」といい、紫色の光より少し波長が短い光を「紫外線」といいます。これらの光は目では見えません。

光を利用した分析方法には、

①モノに光を当てて、「反射したり、吸収されたり、通過したりした光」をつかまえて調べる方法と、

②「モノから出ている光」をつかまえて調べる方法があります。

②の方法の例として、鉱物などの中には紫外線を当てると蛍光するものがあります。絵の具(青)の材料の1つで「ラピスラズリ」という鉱物もそうです。絵に紫外線を当てて、青っぽく光ればラピスラズリが使われていると考えられます。このほかにも方解石や蛍石など、紫外線を当てると光る鉱物がたくさんあります。
また光るガラスもあります。2016年に広島平和記念資料館の発掘調査で出てきた花瓶は、紫外線を当てると黄緑色に光ったことから、「ウランガラス」でできていることがわかりました。このように、紫外線を当てることで、文化財が何でできているのかがわかることがあります。紫外線は、お札やパスポートが本物かどうかを調べるのにも使われています。


普通の光を当てたとき


紫外線を当てたとき

この夏、9月2日(日)まで、こども文化科学館3階企画展示ホールにおきまして、企画展「文化財を科学する」を開催しております。文化財調査の中で生かされている科学をぜひご覧ください。