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掲載日2020.04.24
2020.04.24

「おうちでミュージアム」偏光板の不思議

こども文化科学館の2階展示ホールには、白い画面で何も映っていない液晶モニターがあります(写真1)。


写真1

このモニターの前に座って、一緒に置いてある黒いメガネ(写真2)を使って、のぞくと映像が見えだし、それを回すと見える様子が変わってきます(写真3、4)。


写真2


写真3


写真4

何も映っていないモニターに映像が見えだすのは不思議ですね。
どうしてこのような不思議な現象が起こるのでしょうか。

一般的に、液晶モニターは、偏光板、カラーフィルター、液晶、電極、バックライトなどが組み合わさってできています。
しかし、ここで展示されている液晶モニターは、本来表面にある偏光板をはずしているため、映像を見ることができません。黒いメガネには偏光板が入っているため、その黒いメガネでのぞいたときだけ、偏光板を通して見ることになるので、映像を見ることができるのです。つまり、偏光板がかぎになっているのです。

偏光板は、単体ではあまり見たことが無いかもしれませんが、身の回りにたくさんあります。液晶モニター以外に、液晶テレビ、スマートフォンといった液晶画面などに使われています。それ以外にもサングラスや窓ガラスにも使われている場合があります。

この偏光板を使うと、光の不思議な性質が明らかになってきます。
ふつうの光はあらゆる方向に振動しながら進行しています。
この光を偏光板に通すと、一定方向に振動する光を吸収するので、一定に振動するだけの光になります。
このように一定方向だけ振動するだけの光を偏光といいます。
この性質を利用して、液晶画面でものを見ているのです。

偏光板を使うと、面白い実験がたくさんできます。ここで1つ紹介しましょう。
光を2枚の偏光板を重ねて見ると真っ暗になったり透明になったりします。
どうして2枚を重ねると真っ黒になることがあるのでしょうか?
1枚の偏光板に光を通すと、一方だけ振動する光が通り、その他は吸収されます。その光を90°向きを変えた偏光板に通すと、その一方方向に振動した光を吸収するので、全ての光を通さなくなり真っ暗になるのです。

偏光板(偏光板が入ったサングラスでもよい)が手に入ったら、それを通して色々なものを観察して下さい。面白い発見ができるかもしれませんよ。
ただし、太陽など強い光を直接見ないよう、注意して下さい。

観察してもらいたい例
①電卓やパソコン、携帯などの画面
②電気屋さんにある色々なテレビ
③光を反射しているガラスや水面
④セロハンテープを貼った偏光版
⑤2枚の偏光版の間に、くしゃくしゃにしたセロハンや透明なプラスチック製のスプーンを入れる。

【参考した本】
古林宏之 著『青少年のための科学の祭典第20回広島大会ガイドブック』
44偏光を使った3Dを体験しよう!、2014年,P92~93

板倉聖宣・田中良明 著『偏光板であそぼう』
サイエンスシリーズ電磁波をさぐる編,仮説社、2007年