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「おうちでミュージアム」ワイヤレス充電
なんだろう???
最近,近所の喫茶店で不思議な物体を見つけました(写真1)。カップなどを置くコースターかと思いましたが,それにしては厚みがあります。また,電気を送るケーブルようなものも付いているので,温かい飲み物を保温するものかと思いましたが,さわってみても保温ほど温かくありませんし,周りを見るとカップを置いている人はいないようです。その代わりにスマートホンを置いていました(写真2)。お店の人に聞くと,なんとスマートホンの充電器でした。
写真1
写真2
充電する
スマートホンに限らず携帯電話といった充電池を内蔵しているものは,昔からケーブルとACアダプタなどと接続して充電が行われてきました(写真3)。しかし,写真2のような充電の場合は,ケーブルを接続せずに充電器へ置くだけで,つまりワイヤレスでスマートホンの充電が行われるのです。では,どうやって充電を行うのでしょうか。
写真3
ワイヤレス充電
充電は,充電池に電気を流すことによって行われます。ケーブルを使った充電方法は,ACアダプタなどからケーブルを通して電気が充電池に流れていきます。置くだけの充電も,置くことによって電気が流れていくのでしょうか。しかし,写真2のように電気を通さないケースに入れて置いても,充電マークが出ているようにちゃんと充電が行われています(写真4)。実は,直接電気を通しているのではなく,磁石の力を使って充電を行っているのです。
写真4
電気と磁石の関係は切っても切れない関係で,電気が流れると必ず磁石の力が及ぶ場所ができます。これを磁場と言います。逆に磁場が生まれると電気が流れます。充電器側に銅線を巻いたコイルが内蔵されています。ここに電気が流れると磁場が生まれて,充電器に置いたスマートホンに届きます。スマートホンにもコイルがあり,磁場により電気が流れて充電されるという仕組みです(図1)。ただし,単にコイルに磁場が届くだけでは電気は流れません。磁場の大きさや向きが変化する必要があります。変化する磁場がコイルに届いて初めて電気が流れます。このような現象を“電磁誘導”と言います。なお,変化する磁場を作るためには,充電器のコイルに流れる電気は大きさや流れる向きが変化することが必要です。
図1 ※イメージです
いろいろなものの充電に
置くだけで充電できるとは便利な世の中になりましたが,このような充電ができる機器はまだまだ限られているようです。そのうち,スマートホンに限らずいろいろなものがケーブル無しに,つまりワイヤレス充電ができるようになるかもしれませんね。